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はじめに

STORY OF TAKUWAERU

私はいま、家事を終え、会社に向かっている。赤信号で止まっている時に小学生の列を目にしていた。

我が子と同じくらいの子どもだろうか。楽しそうに、友達と話している姿だ。ふと最近、我が子の心配ばかりしている自分に気づいた。友達をたくさん作ろう、新しいことを勉強しようと、子どもと一緒にワクワクして迎えた小学校生活。あと半年で小学校4年生。

「学校の勉強が難しくてわからない…」「習い事が疲れる…」「友達から嫌なことを言われた…」そんなマイナスな話ばかりが耳に入ってくる。来年春には学童も修了し、これから高学年。仲の良い友達や同級生の母親の話を思い返すと、学習習慣を定着させることや進路を考え、塾に通い始める子がいる。新たに習い事をはじめる子もいる。家にいるともっぱらゲームや動画に没頭してしまう我が子にとって、最良の選択とは何だろうか。

今日も仕事のため本人と会える時間は18時を過ぎるだろう。仕事も比較的順調で、子どもの成長にあわせて多忙になり、家庭でコミュニケーションを取る時間が減ってしまった。私には相談相手がいないなあ、とふと思った。

誰もいない家で留守番をさせることで、本人が寂しい思いをするのではないか。友達を家に連れてきてどんなことをしているのか不安になる。信号待ちの時間にそんなモヤモヤした気持ちと焦りが頭をよぎった。

夕食の片付けも済み、くつろぎながらテレビをつけた。ニュースで、関係性の貧困という言葉を耳にした。貧困の連鎖とも言っていた。子育て世代の不安をあおられているような気持になったままいつのまにか眠っていた。一人でがんばらないで。泡が子が赤ちゃんだったころの笑顔が、そう言っているようだった。夢か。

職場の昼休みにスマホを手に取り、地域の中で子どもが放課後を過ごせる場所がないか調べてみた。すると、「TAKUWAERU」という場所が新たにできたことを知った。放課後に子どもたちが立ち寄って勉強したり、体験イベントに参加したりできるようだ。まるで学童と塾の特徴をあわせ持ったような場所に感じられた。もしかしたら我が子にぴったりな場所ではないかと思い、早速仕事帰りに足を運んでみることにした。

その建物は息子が通っていた幼稚園の向かいにあり、蔵のような形をしていた。なるほど「蔵が食糧を蓄えて置く場所のように、“心のエネルギー”を蓄える場所」をイメージしているという。入って真っ先に感じたのは、明るく開放的な空間に木の良い香りが溢れていることだ。子ども達が和気藹々と話している声も聞こえ、勉強している子どもの姿も見られた。ここであれば、我が子も快適に過ごしてくれるのではないかと思った。そして昔懐かしい駄菓子も売っており、ふいに昔の自分を思い出した。希薄になっていた地域の子どもたちの居場所が復活したような感覚を覚えた。

家に帰って早速「放課後にふらっと立ち寄れる場所があったから行ってみよう。」と子どもを誘った。子どもはさして乗り気ではなかったが、それほど遠くない場所ということで、私についてきてくれた。実際に見てみると楽しかったようで、早速利用を決めた。最近何となくモヤモヤとしていた私にも光が差した気がした。

2週間が経った。わが子は家に帰り、毎日自転車でTAKUWAERUに通っている。もうすっかり新しい場所に慣れた様子だ。昨日も「今日は宿題をやってから、友達と駄菓子を買ったよ!」「明日は先生に算数を教えてもらう日だ!」とニコニコ話しており、自分なりに毎日を楽しんでいるようだ。今度は何やら特別講座もあるらしい。学校の勉強だけではなく、将来のことを考えてくれるプログラムがあることはありがたい。家庭のなかでも明るい会話が増えた気がして、主人も何となく安心しているようだ。私自身はと言えば、居場所ができたことで安心できたのか家庭で子どもと関わる時間は限られていても、その中でしっかりと話をしようという意識に変わった気がする。

中学生になるまでにはまだ時間があるので、まずは放課後の時間をうまく使って学習習慣を確立し、友達と楽しく交流してほしい。信号は赤から青へと変わった。私もがんばろう。

Educarealize Group
CEO 山村 達夫

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